ぬいぐるみに魂が宿ったとしか思えなかったある夜の話

クゥへの手紙

クゥを亡くした悲しみから、翌月同じ犬種のぬいぐるみを購入しました。ほぼ実物大のぬいぐるみなので、生前クゥが愛用していた服を着てもらっています。この子に話しかけたり、頭をなでたり、抱きしめたり、毎晩一緒に寝たりしています。

ずいぶん昔のことですが、お人形を抱っこしてお散歩している中高年の女性を何度か見かけたことがあります。当時は私もまだ若かったので考えが及ばず、あれ?子供じゃないのに、なんでいつも人形なんか抱っこして歩いているのかな?と不思議に思っていました。

「あたたかい気持ちで見守ってあげてね」

ですが、人それぞれ色々な理由があっての行動なので、たまたまそれを見た人がどうのこうの思うのは余計なお世話だし、人に迷惑かけているわけでもないので、過去に何かあったのかな?と一瞬思うだけで、それ以上は思わないようにしていました。

「今なら気持ち、わかるよね。」

そして今度は、自分が同じことをしているんですよね。もちろん家の中だけですが…。私のその様子を、例えば何も知らない他人が動画で見たとしたら、あれ?大丈夫なんかな?っと思うでしょうね。でも、人に迷惑をかけているのでなければ、それで自分の気が済んで、少しでも幸せな気分になれるなら、全然問題ないですよね?だって抱っこすると気持ちが落ち着くから仕方ないんです。

「こうすれば気持ちが落ち着くってことが見つかって、よかったね」

先日、いつものように就寝前にベッドに横になりながら本を読んでいたのですが、体勢を変えた拍子に肘がぬいぐるみのクゥに当たってしまいました。本に没頭していたこともあり、本物のクゥに当たったと思って「あ!ごめん!」って本気で謝ってしまいました。

「当たってもへちゃら!気にしないでね」

そうか、ぬいぐるみやったな、と思ったのもつかの間、同じ事がまた起こって、同じ事を言ってしまいました。でも本当に2回とも、リアルに本物のクゥに当たったかのようだったのです。

しばらくして就寝しましたが、その日は寝る前に水分を取りすぎたこともあって、夜中に目が覚めてしまいました。トイレから戻ってきてもう一度寝ましたが、横で寝息のような音が聞こえていました。電化製品は何もつけていないし、室内はシーンとしていましたが、息を殺して耳を澄ませてみると、確かに一定の間隔で寝息が聞こえてくるのです。

「えへへ」

一緒に寝ているぬいぐるみの方から聞こえてきて、うれしいのを通り越して、わりと怖くて固まったまま寝てしまいました。なんだったんだろう?あの日は、ぬいぐるみが本当のクゥのように感じられた夜でした。(娘からは「それ宿ってるやん」と言われ、益々うれしさと怖さが入り混じりました)

「うれしさだけでいいじゃん」

クゥへ

私がいつまでも悲しんでいるから、クゥが心配してそばに来てくれてたの?ぬいぐるみをクゥだと思って一緒に寝るとか、クゥにとってはよくないのかな?でも、最後の2年間はずっと一緒に寝てたから、クゥがいないと落ち着かないよ。クゥがいなくても大丈夫なママが早く見たい?いつか大丈夫になるから、もう少しだけ時間ちょうだいね。これでもちょっとは大丈夫になってきてるよ。

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